山行報告                    【記・根来】
           2004・7/21〜23
           尾瀬ハイキング           メンバー:根来 他
尾瀬行きは何回目になるだろうか。4月頃から会社の人から誘われていて、楽しみにしていた。思えば、就職で大阪から上京してきて最初の山が尾瀬であった。以来、会社の友人、会社行事、家族など何度となく入山しているが、一向に飽きない。
21日夜、会社正門に集合し、さしいれのウィスキーとオシボリどっさりを積み込んで出発。大清水の駐車場に車を入れて、休憩所の軒下で仮眠。雨上がりの後だったため、シュラフカバーだけではさすがに明け方は寒かった。
【22日】
一ノ瀬の休憩所までは林道を、休憩所の少し先で山道にはいる。これからは三平峠まで上り坂となる。しばらく沢沿いであるが山腹をジグザグに登り、途中で荒れ果てた林道を横切る。
ここは三平峠直下で、大清水〜沼山峠間の林道工事を故大石環境庁長官がストップさせた付近になる。ここから三平峠まではひと頑張り。三平峠からは尾瀬沼に向けて下るだけ。
30数年前には三平峠から少し下ったあたりから岳樺の新緑と尾瀬沼、燧ケ岳の眺望が素晴らしかったが、今は樹木が茂りあまり眺望が望めない。
30数年も経てば樹木も大きくなり、眺望が悪くなるのも道理である。
尾瀬沼からは長蔵小屋を経て大江川湿原に出る。大江川には鮒や尺に近い岩魚が泳ぎ、木道に座り込んでコバギボウシの花を写生している人がいて、実にゆったりとした雰囲気である。
尾瀬沼を左に見ながら樹林帯と湿原を交互に歩きながら沼尻につく。ここは燧ケ岳が間近に迫っており、また尾瀬沼の西端でもある。休憩所とトイレがあるのでコンロを出して、ゆっくり一休みする。靴下裸足で植物の写真を撮りにでかける。時期的に端境期なのか、あまり花が見うけられないが蘭科のトキソウが咲いていたので写真に収める。
沼尻から白砂湿原を過ぎるとあまり見通しのきかない樹林帯歩きとなる。白砂乗越を過ぎれば、見晴十字路までは緩やかな下り。1時間半ほどで見晴十字路につく。昔は下田代十字路と呼んでいた場所である。
今日の宿となる弥四郎小屋受付で手続きをし、一度部屋に入って荷物を置く。窓からは尾瀬ヶ原が一望できる良い部屋にあたった。
膝を痛めた一人を部屋に残し、三条の滝見物に行く。1時過ぎに出発するが“往復3時間”とすると、入浴時間が微妙になってくる。4時〜5時半まで団体客(学生)が入るとのこと。多分、その後はお湯が汚れているであろうから、できればその前に入って汗を流したい。そういう思いが自然に足を早くさせる。
温泉小屋までは整備された道であるが、その先は山道になる。平滑の滝を見るが水量が多そうである。ここからハシゴがでてくる。いくつか小沢を渡り、一気に下って三条の滝展望台に着く。やはり水量が多く、圧巻である。記念写真を撮り宿舎に向かう。
コケイランやコバギボウシの白花などがあるが、どうせ明日もここを通るから写真は明日にして、団体客よりも先に入浴すべく急ぎ足で帰る。4時前に小屋に着いたので急いで風呂に入る。
膝を痛めて留守番をしていたT君はさしいれのウィスキーを飲みすぎ、“風呂へ行こう”と誘っても起きなかった。風呂のあとは恒例のごとく、生ビールを飲む。ちょっと高いが、うまい!
【23日】
今日は鳩待峠までなのでちょっと遠回りをして、東電小屋〜ヨッピ橋〜中田代〜竜宮〜西田代〜上田代というコースをとる。
東電小屋へは昨日の三条の滝コースの途中から左に折れる。三条の滝の上流になる尾瀬ヶ原橋を渡ると間もなく東電小屋である。
小屋の前では東電職員が小学生とその親を対象に、尾瀬の自然と東電の自然保護に対する取り組みなどについて説明をしていた。『給料をもらってこういう仕事をしているのは羨ましいなぁ!ん?でも業務命令で好きでもないのに嫌々やっているのもいりかも知れない。言ってくれれば喜んで代ってあげるのに…。』なんて一人ごちていた。
中田代では古くなった木道を交換する工事をしていたが、あちこちに葦の原や潅木帯が目につく。流れ込む川が砂を運んできて乾燥化が進んでいるのであろう。
自然の摂理でどうしようもないことであるが、ちょっと寂しい気がする。
ニッコウキスゲも少なく、原からの燧ケ岳や至仏山も“画竜点睛を欠く“風情である。春に霜がおりてキスゲの新芽がダメになったとのこと。これも自然の摂理か…。
竜宮は、尾瀬ヶ原の泥炭層の下部に水路ができ、原の表面に湧き出しているところ。カルスト現象というそうであるが、その竜宮にハヤらしき小魚が沢山泳いでいる。
下流から登ってくるような流れはなく、尾瀬ヶ原ができる前に封じ込められた魚の子孫としか考えられないが、いつ頃から、どこから来て生きているのか不思議でならない。
ここからは尾瀬ヶ原のメインルートになるので、さすがに人が多い。すれ違う人と“ンチワー”と挨拶をするのも面倒くさくなるくらい、人が歩いてくる。山ノ鼻には学生やツァー客などがウジャウジャといる。
鳩待峠から1時間ちょっとの下りなので、人が多いのもし方がないのかもしれない。
あとは、ダラダラとした昇り道を1時間半ほどで鳩待峠に着く。タクシーをチャーターして大清水に駐車してある車を取りに行く。